古民家あるある話【古民家再生in三重県津市】

こんにちは!長手です。今回は雑談回。三重県津市の古民家再生現場から、古民家のあるある話をご紹介します!

↑屋根裏部屋に残された大量のワラ。

古民家では昔、かまどで煮炊きをしていたので薪や焚き付けのワラが必要でした。ワラなどを屋根裏に収納しているケースが多く、かまどを使わなくなってからもワラなどをそのままにしてあるケースがあるのです。

今回のケースでは屋根裏にどこかからアライグマ?が侵入していました。動物にとってはワラは天然の布団。ワラに動物が寝ていた跡やフンが残されていました!

今回は工事を機に残されたワラを撤去。侵入経路になりそうな隙間を塞ぎ、今後動物が住み着く可能性は低くなりました!アライグマさんごめんね!

古民家再生では、一般の改装・リフォームでは考えられないようなこともあります。一般的な家に大量のワラはありませんからね!それが古民家の大変さでもあり面白さ!

次回ブログもお楽しみに

ついに足場解体!【古民家再生in三重県多気町 第14回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生は、ついに足場解体を迎えました!

薪ストーブのための煙突は足場解体前に取り付けておきました。正面1階部分の塗装は足場解体後でも可能ですので後日施工予定です。

足場がなくなると完成が近づいてきたな!と思いますね。

しかし!大工さんも外部優先で進めていたので内部工事はまだまだこれからも進んでいきます。

また次回もお楽しみに!

杉板塗装DIY【古民家再生in三重県多気町 第13回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生工事、今回は現場作業ではなくお施主様による塗装DIYの紹介です。

前回のブログで紹介した押え縁張りとササラ子下見張りをした杉板、実は施主様がご自身で塗装したものでした。

↑キシラデコール・アクオステージという塗料を使用しました。水性塗料で扱いやすく、対候性の高い塗料です。キシラデコールは木部塗装といえばかなりメジャーな塗料ですね。

外壁に使う無垢板は貼る前に作業台の上で塗っておくほうが何かと良いです。①作業台の上なので塗りやすく、液垂れ跡が出にくい。②外壁を貼った後に塗装すると、木の収縮により塗装されていない部分が後日見えてくることがあり、それを防止できる。③少し施工費が抑えられる。④自分が工事にかかわるので家に更に愛着が出る。などなど。ただしプロレベルという訳にはいかないので少しの色むらなどはご愛嬌です。

1歳半のお子さん抱っこして頑張ってくれました。作業は山路工務店の工場で行いました。

↑コテバケという道具を使用すれば、素人の方でも結構上手に早く塗ることが出来ます。

山路工務店ではお施主様の一部DIYはOKです。今回のような塗装や、壁の塗り壁、タイル貼りなどはご自身でなさる方がチラホラお見えになります。一部DIYのご希望のある方、ご相談くださいませ。

今回は普段と違うような内容でしたね!次回もお楽しみに!

外壁仕上げ工事!【古民家再生in三重県多気町 第12回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生工事、前回は外壁下地工事までご紹介いたしました。今回はその続きの外壁仕上げ工事をご紹介します。

この現場では外壁仕上げが主に3種類に分かれています。 ①ガルバリウム鋼板貼り   ②押え縁貼り ③ササラ子下見張り(通称:鎧張り) です。お施主様の希望などによって様々ですが、山路工務店での古民家再生工事ではこの3つが良く採用されます。

まず①ガルバリウム鋼板貼り

古民家再生に限らず、新築でも最近主流です。 金属ですがサビにくい加工がしてあり高耐久です。

↑前回の外壁下地のところで写真を載せたところです。外壁下地をしてからサッシと庇を取り付けていました。

↑着工前の正面2階部分の外壁もガルバリウム鋼板が貼られていました。色や加工によってさまざまなバリエーションがあります。ガルバ外壁の部分は左側面同様ササラ子下見張りだったそうです。傷みが激しくガルバ外壁を貼ったそうで、今回は元のササラ子下見張りにします。

②杉板の押え縁貼り

今回は幅165mmの杉板を縦貼りし、板同士の隙間を30mm幅の桟(押え縁)で隠して仕上げます。板の幅を変えることで雰囲気が変わります。縦貼りですので外壁に雨が掛かっても、水が切れやすく、乾きやすいので傷みにくいとされています。

桟を打つと外壁に凹凸が出て変化が出ますね。

③ササラ子下見張り(通称:鎧張り)

斜めに切り欠いた桟(ササラ子)に裏から杉板を留め付け大きなパネルを作成します。それを外壁に留め付けていきます。ネットで調べると鎧張りというと桟のないものを指すようですが、普段話す大工さんなどには「鎧張り」ないし「鎧」で通じます。

2つのパネルのジョイント部分は桟が2重にならないように、後で取り付けるパネルの桟で抑えるようにします。パネルのサイズなどにより、このようにできない場合もありますが、この方法だとパネルのジョイントがわからなくなります。

外壁仕事が終了です。後は足場がないと取付られない雨樋や塗装工事をすれば足場解体です。およそ5か月かかっていた足場がついに外れます。

足場解体後の様子は次回お楽しみに!

外壁下地工事!【古民家再生in三重県多気町 第11回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生工事、今回は外壁工事の様子をお届けします!

外壁工事に限らず、すべての工事はまず下地が肝心。下地の時点でしっかり施工されていると後工程がスムーズに進みます。

新築住宅は棟上げ時に当然、柱を垂直に立てます。ですからその後の壁下地工事などは垂直を意識することが無くても、ビシッと垂直に仕上がります。一方、古民家では長年の荷重や、そもそも新築時の施工精度が現代ほどよくなかったことなどから、柱や壁が少し傾いていることも多いです。その場合、何の気なしに壁下地をしてしまうと、当然仕上がった壁も斜めになってしまうのです。

そこで大工さんは古民家の壁下地をする際に、しっかり垂直になるように調整しながら壁下地を施工していきます。

このように柱や梁に木材を当てながら、下地を作っていきます。写真ではわかりにくいですが、部分邸に木材が斜めに加工されていたり、厚み調整のパッキンをしながら垂直に木材を取り付けます。

今回は垂直に施工した木材の上に、耐震補強のための構造用合板を貼りました。 構造用合板を貼る時点で垂直にしておくと、それ以降の作業は新築工事のときと同じように施工していくことができます!

透湿防水シートを貼り、外壁材を留める胴縁という桟を打ったら外壁下地は完了です!この上に無垢板やガルバリウム外壁材を貼れば外壁工事の完了となります。古民家再生はまず下地から!大切なことですね。

古民家再生工事はまだまだ進みます。これからどのような外壁に仕上がっていくのか、次回は外壁仕上げの様子をご紹介いたします!お楽しみに!

屋根葺き工事!【古民家再生in三重県多気町 第10回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生工事、屋根葺き工事が進んでいます!

前々回ブログで、屋根が古民家再生の重要ポイントであることお伝えしました。ルーフィングを貼った後の工事の進みをお伝えしていきます。

元々の瓦屋根は土で葺かれていましたが、葺きなおす際には土は使用しません。瓦桟という桟を打って、それに瓦を1枚ずつ釘で留めていく工法になります。

瓦桟は樹脂製で耐久性に優れます。錆びにくいステンレスの釘で留めていきます。

瓦桟の施工が終わると瓦本体の施工に入っていきます。施工するのはいぶし瓦です。瓦を焼く際に蒸し焼きのようにする燻化(くんか)という工程があり、燻(いぶ)し瓦というそう。きれいな薄い灰色が特徴です。

瓦を屋根に揚げるのに、ハシゴタイプの荷揚げ機を使います。
4枚ずつ束ねられた瓦が整然と並びます。荷揚げ機を使うとはいえ、量が多いので一苦労です。

瓦工事は葺き始めると一気に進んでいきます。1枚1枚ステンレス釘で瓦桟に瓦を留めていきます。

平面部分の瓦が葺き終わると棟廻りの仕事になります。棟だけは土を使って積んでいきます。

土を入れる特徴的なバケツです。
最近は土を扱う建材屋さんが少なくなりました。スサといわれる藁が入っていて粘りが強く、瓦によく密着します。
棟を積む際に鬼瓦を取り付けていきます。
家紋がわかるお施主様には鬼瓦に家紋を入れてもらいます。家紋の部分はワイヤーを通して鬼瓦の内側で縛って留めます。

棟を積み終わったら、左官屋さんに漆喰を詰めてもらって屋根工事終了になります。

葺く直す前の古民家らしい、色ムラのでたいぶし瓦の屋根も味がありますが、まっさらの美しい灰色の屋根も良いですね! 下地の合板やルーフィングもしっかりした屋根はこれから数十年にわたって古民家を守ってくれます。 瓦屋根くん!これからよろしく!頼んだよ!そんな気分ですね。

まだまだ古民家再生は進んでいきます。次回は外壁工事の様子をご紹介いたします。お楽しみに!

床暖房工事!【古民家再生in三重県多気町 第9回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生は、内部工事は床下地も終わり、床暖房工事の仕込み作業・フロア貼り工事が進んでいます!

床暖房は ①風によりホコリが起こらない ②足元が温かいので、室温以上に暖かく感じられる ③ストーブなどと比べ安全性が高い、などのメリットがあります。

山路工務店では、ヒートポンプを使った温水式床暖を使用しています。エコキュートと同じ方法で温水をつくるので、電気ヒーター式やガス式に比べてランニングコストがお得です!

銀色のパネルに温水が流れる管をはめ込んでいきます

この上に床材を貼っていきます。杉の無垢フロアは床暖房対応の加工がしてあるものを使用します。

左:無加工杉フロア 右:圧密フロア(床暖対応)

床暖房フロアは表面を圧縮しオイル塗装がしてあります。そのため少し光沢のある仕上がりです。表面が多少固くなるので、杉本来の柔らかさはなくなりますが、無加工に比べ傷や汚れが付きにくくなるメリットがあります。

今回は床暖房工事と杉フロアの話でした。また次回をお楽しみに!

瓦めくり・屋根下地工事【古民家再生in三重県多気町 第8回】

こんにちは!長手です!今回は屋根葺き替え工事をご紹介します。

建物を長持ちさせるために大切なことは ①雨漏りをさせない! ②シロアリに食べさせない! の2つが最重要だと思っています。今までたくさんの古民家、古家を見てきましたが、雨漏りしている建物は劣化が10倍早く進む感覚です。木材は水分があると腐朽菌やシロアリが発生しやすくなるからです。

ですから建物防水の要の屋根は古民家再生の重要ポイントになるのです!

古民家の瓦屋根は土葺きで葺かれています。文字通り、瓦の下に土を敷いています。現在はほとんど使われない工法ですが ①日射による熱を伝えにくくする ②多少の浸水であれば土が吸収して雨漏りにならない ③土で高さを調整することで下地のムラを目立たなくすることができる 等メリットがあります。 しかし、土がかなりの重量なので、耐震上は不利になります。

屋根めくりは①瓦 ②土 ③杉皮 の順でめくっていきます。めくる最中は土埃がしてしまうので、近隣の方にお声掛け必須です。

瓦、土、杉皮をめくると通称バラ板といわれるような横桟が出てきます。踏むと割れてしまいそうな板ですが、これで土と瓦の重量を支えていたと思うと不思議ですね!垂木は傷んでいるところだけ交換して、この上に合板でしっかりとした下地を作っていきます。

合板の上にアスファルトルーフィングを貼ります。ここまでくれば雨が降っても大丈夫です。

屋根葺き替えは天気予報とにらめっこ。ルーフィングを貼るまでは全力疾走で駆け抜けます!(雨が降るときは厚手のブルーシートで養生します)

まだまだ屋根工事は進んでいきますが、それはまた後日ご紹介します。次回をお楽しみに!

床下地進捗【古民家再生in多気町 第7回】

こんにちは!長手です!基礎工事が完了した後、床下地を組んでいく大工工事の進行状況をご紹介します。

基礎工事完了時には当然床がありません。前回お伝えした壁の補強と同時進行で床下地の工事を進めます。床下地には、主に90mm角の大引という材料を使用します。大引を3尺(約910mm)の間隔で並べ、束を使って支えていきます。

大引が並び、間に断熱材いれます。大引の上に24mm厚の合板を貼り付けて、床下地は完成です。 床下地ができると歩きやすく作業しやすくなりますね!

文章にしてしまうとあっさりした作業内容ですが、改修工事の場合は現場によってはかなり手間がかかることもあります。残す部屋やサッシがあるとその高さとの帳尻を合わせたり、、、など現場によっては大工さんと頭を悩ませることもあります。

次回は屋根工事の様子をご紹介します!

古民家の耐震について【古民家再生in多気町 第6回】

こんにちは!ブログ担当長手です!今回は古民家の耐震性、耐震工事についてです。

古民家改修を検討している方にとって、古民家の耐震性は大丈夫なの?というのは考えたことありますよね。古民家の耐震を考えるときは、そもそも耐震性とは何か?というのを考える必要があります。

現在の建築基準法に基づく耐震の考え方は、建物を筋交いや構造用面材などで壁を補強し、ガチガチにして耐える。まさに「耐震」という考え方です。

一方、古民家の伝統的な工法では、木材の粘り強さを活かし、太い柱、大きな梁、差し鴨居、足固めなどを多層に組み合わせ、地震が発生した際にこれらの接合部がめり込みつつ、木材の柔軟性を利用して地震に抵抗する免震的な考え方があります。この古民家・伝統的工法の考え方を「総持ち(そうもち)」と言ったりします。

『古民家解體新書Ⅱ』川上幸生著 p27より

現在、各市町村で行う無料耐震診断は、建築基準法に基づく「耐震」診断です。当然、古民家は基準に適合せず、低い評価を受けることになります。 では、古民家の耐震性はどのように判断するのか!?という話ですが、弊社も加盟している古民家再生協会が実施する「伝統耐震診断」という耐震診断方法があります。これについては別の機会に詳しく説明します。

では古民家の耐震補強はどのように行うか、という話。 いくら免震的な建物とはいえ壁があまりにも少ないと地震に耐えられないので、壁の補強を行います。なおかつ、元々ある免震的な機能を強化するためにダンパーを設置する場合もあります。古民家の耐震は、壁補強+本来の免震的機能の二本立てです。

古民家にお住まいの方、古民家改修を考えている方、耐震について気になることがあればお問合せくださいませ!

引き続き工事の様子や、その他建築の話をお伝えしていきます!