屋根葺き工事!【古民家再生in三重県多気町 第10回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生工事、屋根葺き工事が進んでいます!

前々回ブログで、屋根が古民家再生の重要ポイントであることお伝えしました。ルーフィングを貼った後の工事の進みをお伝えしていきます。

元々の瓦屋根は土で葺かれていましたが、葺きなおす際には土は使用しません。瓦桟という桟を打って、それに瓦を1枚ずつ釘で留めていく工法になります。

瓦桟は樹脂製で耐久性に優れます。錆びにくいステンレスの釘で留めていきます。

瓦桟の施工が終わると瓦本体の施工に入っていきます。施工するのはいぶし瓦です。瓦を焼く際に蒸し焼きのようにする燻化(くんか)という工程があり、燻(いぶ)し瓦というそう。きれいな薄い灰色が特徴です。

瓦を屋根に揚げるのに、ハシゴタイプの荷揚げ機を使います。
4枚ずつ束ねられた瓦が整然と並びます。荷揚げ機を使うとはいえ、量が多いので一苦労です。

瓦工事は葺き始めると一気に進んでいきます。1枚1枚ステンレス釘で瓦桟に瓦を留めていきます。

平面部分の瓦が葺き終わると棟廻りの仕事になります。棟だけは土を使って積んでいきます。

土を入れる特徴的なバケツです。
最近は土を扱う建材屋さんが少なくなりました。スサといわれる藁が入っていて粘りが強く、瓦によく密着します。
棟を積む際に鬼瓦を取り付けていきます。
家紋がわかるお施主様には鬼瓦に家紋を入れてもらいます。家紋の部分はワイヤーを通して鬼瓦の内側で縛って留めます。

棟を積み終わったら、左官屋さんに漆喰を詰めてもらって屋根工事終了になります。

葺く直す前の古民家らしい、色ムラのでたいぶし瓦の屋根も味がありますが、まっさらの美しい灰色の屋根も良いですね! 下地の合板やルーフィングもしっかりした屋根はこれから数十年にわたって古民家を守ってくれます。 瓦屋根くん!これからよろしく!頼んだよ!そんな気分ですね。

まだまだ古民家再生は進んでいきます。次回は外壁工事の様子をご紹介いたします。お楽しみに!

床暖房工事!【古民家再生in三重県多気町 第9回】

こんにちは!長手です。三重県多気町の古民家再生は、内部工事は床下地も終わり、床暖房工事の仕込み作業・フロア貼り工事が進んでいます!

床暖房は ①風によりホコリが起こらない ②足元が温かいので、室温以上に暖かく感じられる ③ストーブなどと比べ安全性が高い、などのメリットがあります。

山路工務店では、ヒートポンプを使った温水式床暖を使用しています。エコキュートと同じ方法で温水をつくるので、電気ヒーター式やガス式に比べてランニングコストがお得です!

銀色のパネルに温水が流れる管をはめ込んでいきます

この上に床材を貼っていきます。杉の無垢フロアは床暖房対応の加工がしてあるものを使用します。

左:無加工杉フロア 右:圧密フロア(床暖対応)

床暖房フロアは表面を圧縮しオイル塗装がしてあります。そのため少し光沢のある仕上がりです。表面が多少固くなるので、杉本来の柔らかさはなくなりますが、無加工に比べ傷や汚れが付きにくくなるメリットがあります。

今回は床暖房工事と杉フロアの話でした。また次回をお楽しみに!

瓦めくり・屋根下地工事【古民家再生in三重県多気町 第8回】

こんにちは!長手です!今回は屋根葺き替え工事をご紹介します。

建物を長持ちさせるために大切なことは ①雨漏りをさせない! ②シロアリに食べさせない! の2つが最重要だと思っています。今までたくさんの古民家、古家を見てきましたが、雨漏りしている建物は劣化が10倍早く進む感覚です。木材は水分があると腐朽菌やシロアリが発生しやすくなるからです。

ですから建物防水の要の屋根は古民家再生の重要ポイントになるのです!

古民家の瓦屋根は土葺きで葺かれています。文字通り、瓦の下に土を敷いています。現在はほとんど使われない工法ですが ①日射による熱を伝えにくくする ②多少の浸水であれば土が吸収して雨漏りにならない ③土で高さを調整することで下地のムラを目立たなくすることができる 等メリットがあります。 しかし、土がかなりの重量なので、耐震上は不利になります。

屋根めくりは①瓦 ②土 ③杉皮 の順でめくっていきます。めくる最中は土埃がしてしまうので、近隣の方にお声掛け必須です。

瓦、土、杉皮をめくると通称バラ板といわれるような横桟が出てきます。踏むと割れてしまいそうな板ですが、これで土と瓦の重量を支えていたと思うと不思議ですね!垂木は傷んでいるところだけ交換して、この上に合板でしっかりとした下地を作っていきます。

合板の上にアスファルトルーフィングを貼ります。ここまでくれば雨が降っても大丈夫です。

屋根葺き替えは天気予報とにらめっこ。ルーフィングを貼るまでは全力疾走で駆け抜けます!(雨が降るときは厚手のブルーシートで養生します)

まだまだ屋根工事は進んでいきますが、それはまた後日ご紹介します。次回をお楽しみに!

床下地進捗【古民家再生in多気町 第7回】

こんにちは!長手です!基礎工事が完了した後、床下地を組んでいく大工工事の進行状況をご紹介します。

基礎工事完了時には当然床がありません。前回お伝えした壁の補強と同時進行で床下地の工事を進めます。床下地には、主に90mm角の大引という材料を使用します。大引を3尺(約910mm)の間隔で並べ、束を使って支えていきます。

大引が並び、間に断熱材いれます。大引の上に24mm厚の合板を貼り付けて、床下地は完成です。 床下地ができると歩きやすく作業しやすくなりますね!

文章にしてしまうとあっさりした作業内容ですが、改修工事の場合は現場によってはかなり手間がかかることもあります。残す部屋やサッシがあるとその高さとの帳尻を合わせたり、、、など現場によっては大工さんと頭を悩ませることもあります。

次回は屋根工事の様子をご紹介します!

古民家の耐震について【古民家再生in多気町 第6回】

こんにちは!ブログ担当長手です!今回は古民家の耐震性、耐震工事についてです。

古民家改修を検討している方にとって、古民家の耐震性は大丈夫なの?というのは考えたことありますよね。古民家の耐震を考えるときは、そもそも耐震性とは何か?というのを考える必要があります。

現在の建築基準法に基づく耐震の考え方は、建物を筋交いや構造用面材などで壁を補強し、ガチガチにして耐える。まさに「耐震」という考え方です。

一方、古民家の伝統的な工法では、木材の粘り強さを活かし、太い柱、大きな梁、差し鴨居、足固めなどを多層に組み合わせ、地震が発生した際にこれらの接合部がめり込みつつ、木材の柔軟性を利用して地震に抵抗する免震的な考え方があります。この古民家・伝統的工法の考え方を「総持ち(そうもち)」と言ったりします。

『古民家解體新書Ⅱ』川上幸生著 p27より

現在、各市町村で行う無料耐震診断は、建築基準法に基づく「耐震」診断です。当然、古民家は基準に適合せず、低い評価を受けることになります。 では、古民家の耐震性はどのように判断するのか!?という話ですが、弊社も加盟している古民家再生協会が実施する「伝統耐震診断」という耐震診断方法があります。これについては別の機会に詳しく説明します。

では古民家の耐震補強はどのように行うか、という話。 いくら免震的な建物とはいえ壁があまりにも少ないと地震に耐えられないので、壁の補強を行います。なおかつ、元々ある免震的な機能を強化するためにダンパーを設置する場合もあります。古民家の耐震は、壁補強+本来の免震的機能の二本立てです。

古民家にお住まいの方、古民家改修を考えている方、耐震について気になることがあればお問合せくださいませ!

引き続き工事の様子や、その他建築の話をお伝えしていきます!

基礎工事完了と傾き修正【古民家再生in多気町 第5回】

こんにちは!古民家改修ブログの第5回目の更新です。前回は基礎ベースコンクリート打設までお伝えしましたが、今回は基礎工事の完了までの様子をお伝えします。

ベースコンクリートが固まったら、次は基礎立上り部分に型枠を設置します。型枠の設置が完了したら、再びポンプ車と生コンを手配して、立上り部分のコンクリート打設が行われます。これで基礎のコンクリート作業は無事全て終了しました。

新築工事では基礎を作ってから土台を敷きますが、今回は土台が設置されている下にコンクリートを流し込んでいきます。そのためコンクリートを流す空間として、土台の片側の型枠を10cm程幅広く設置してあります。土台の下いっぱいにコンクリートが詰まるように、なみなみに生コンを入れ、バイブレーターという道具で振動を与えて流れ込みやすくしていきました。

数日後、型枠を取り外し、基礎の周辺の掘削していた部分を埋め整地作業をして、今回の基礎工事はすべて終了です。

今回の建物の嵩上げと基礎工事を担当した曳家業者さん、建物の傾き修正も得意です。

基礎工事が完了した後、ワイヤーとターンバックルという道具を使用して、建物の傾きを修正しました。場所によって傾きが異なることがあるため、完璧な修正は難しいですが、かなりの程度まで修正が可能です。

建物の傾きを修正しておくことは、これから続く大工工事やサッシ・建具工事などの施工がよりスムーズに行えるようになります。

2ヶ月半ほどかかった嵩上げ、基礎工事が終了しました!続いては大工工事など作業が進んでいきます。次回は大工工事の様子をお伝えしていきます。どうぞお楽しみにしていてください!By長手

配筋工事とベースコンクリート打設!【古民家再生in多気町 第4回】

こんにちは!古民家改修ブログの第4回目の更新です。前回は地盤掘削と整地作業までお伝えしましたが、今回は基礎工事の更なる進捗をお伝えします。

基礎工事は、防湿シートを敷き詰めた後、配筋作業から始まります。床面のベース部分や土台が入る立上り部分に鉄筋を組み立てていきます。

鉄筋を地面から浮くように小さいコンクリートのサイコロを鉄筋の下に置いていきます。これのおかげで、後に流し込むコンクリートがしっかりと鉄筋の下に行き届きます。

そして、15センチの厚さのベースコンクリートを打設!隅々までコンクリートを流し込み、基礎部分の完成が近づいてきました。建物がある状態でも、ポンプ車が上手に配管を伸ばしてコンクリートを流し込んでいきました!

基礎工事の大詰めに入ってきます!残りは立上り部分の型枠を組み立て、再度コンクリート打設、型枠を撤去すれば基礎工事もついに完了。次回は基礎工事完了までの様子をお届けいたします!

7月29日と30日に行われた構造見学会にはたくさんの方々にお越しいただき、誠にありがとうございました。引き続き、工事の進捗状況をブログなどでご覧いただけるよう発信していきます!どうぞお楽しみに!

古民家の再生プロジェクトがどのように進展しているか、ぜひご期待ください。By長手

建物据え付けと基礎準備!【古民家再生in多気町 第3回】

こんにちは!古民家改修ブログの第3回目の更新です。前回はジャッキアップと土台交換作業の様子をご覧いただきました。現在、現場は基礎打設に向けて準備を進めています。

基礎の準備作業では、まず地面全体を掘削し、整地・転圧して平坦に仕上げました。特に建物の外周部は基礎に斜めの配筋を入れるため、余分に掘り下げました。

ジャッキアップで持ち上げていた建物は、配筋工事を行うために枕木などを撤去する必要があります。そこで、柱や土台を鋼材で支えるように受け直します。

このように枕木などで支えていた建物を

建物が水平になるように調整しながら受け直す。職人技ですね!

建物全体が鋼材でしっかり支えられたら、次は配筋工事に進みます。その様子は次回ブログでご覧いただく予定です。

7月29日と30日には、この現場の構造見学会を開催する予定です。古民家改修中の見学会はめったにない機会ですので、ご興味がある方や相談がある方はぜひぜひご来場ください。

次回以降も、改修工事の進捗状況をお伝えしていきますので、ブログをお楽しみに!古民家の再生に向けて、一歩ずつ前進していく様子を共に見守りましょう。お楽しみに! by長手

建物ジャッキアップと土台交換の進捗報告!【古民家再生in多気町 第2回】

こんにちは、古民家改修ブログの第二回目の更新です。前回は内部解体工事の進捗をお伝えしましたが、今回は建物ジャッキアップと土台交換作業について詳しくご紹介します。

今回の改修工事では建物地盤が道路よりも低かったので、浸水・湿気対策のために道路よりも高い位置にジャッキアップし基礎を作ることにしました。この作業を担当するのが曳家業者さんです。昔は各地域に曳家業者さんが存在しましたが、現在はその数が減ってきているようです。

ジャッキアップ作業では、土台に多数のジャッキをかませ、少しずつ建物全体を上げていきます。建物が一定の高さまで上がると、シロアリ被害や腐食が見られる土台や柱の交換作業が行われます。大工さんが土台の加工を行い、曳家業者さんがそれを柱にはめ込んでいきます。

ただし、土台の交換は容易な作業ではありません。ジャッキをかけて建物を上げているため、交換する部分の土台にかけているジャッキを別の場所に移動させ、建物を安定させた後に交換作業を行います。このような手順を踏んで、全ての土台を交換するにはかなりの時間がかかります。

土台の交換が完了し、建物をさらに上げると、地面の掘削や鉄筋組みなどの作業が行われます。この作業については、後日詳しくご報告いたします。

また、7月29日と30日には施工中の様子をご覧いただくための見学会を開催する予定です。ぜひご参加いただき、改修の進捗を直接ご覧いただければと思います。

次回以降も、改修工事の進捗状況をお伝えしていきますので、ブログをお楽しみに!古民家の魅力を守りながら、新たな姿へと生まれ変わる様子をご一緒に見守りましょう。お楽しみに!  by長手

古民家再生in多気町 始動! 久々のブログ更新

久しぶりの更新。ブログが再始動しました!

今後は定期的な更新を心がけ、新たなアイデアや情報をお届けします。古民家改修に限らず山路工務店の手掛ける実例、おすすめの素材やアイデアなど、建築に関する幅広いテーマを取り上げていきます。

今回は、先日新たに着工した多気町での古民家改修現場の情報をお届けします。

まずは内部の解体作業。床や間仕切り壁の撤去が行われ、床下の状態を確認しました。多くの現場で、床下の土台や柱の根元にシロアリなどの被害が見られます。そこで、事前に床下に潜って被害の程度を確認し、工事に取り掛かることにしました。

この現場では事前の調査で被害箇所を把握していたため、解体後に被害に驚くことはありませんでした。ほとんど柱と土台だけのスケルトンな状態にします。被害箇所の木材は交換や補強を行い、安全な状態に戻していきます。

この家を含め、古民家の特徴として、床下は土で、土台は石の上に乗っていることがほとんどです。そこで、床下の湿気対策、シロアリ対策を兼ねて防湿コンクリートを打設する現場が多いです。今回の現場は道路よりも家が低いため、浸水対策もかねてジャッキで建物全体を持ち上げてコンクリート基礎を作る嵩上げ工事をしていきます。

今後の工事の進捗についても、定期的に報告していきますので、ブログをチェックしてください。古民家の魅力を守りながら、より快適で耐久性のある空間へと生まれ変わっていく様子をお楽しみに! by長手